関西大学化学生命工学部化学物質工学科

内容

選択透過性を促進する膜構造設計

 分離膜に要求される究極の目標は、高選択透過性と高透過速度を有することである。これらの性能を高めるには、膜がある特定の物質を精度高く認識し、膜内をより早く拡散輸送するかによる。このような観点から巻く構造設計を考えると、いくつかの構造設計の可能性があり、それらについて検討を加えている。
 まず、膜内にミクロ相分離構造を生成させ、このミクロ相分離構造のモルホロジーと選択透過性と透過速度への影響を検討しつつある。また膜表面を改質することにより、特定成分の膜内への溶解を抑制することによる選択透過性の向上を目指して、高分子表面改質剤の合成を行いこの改質剤の表面局在化の条件を明らかにしつつある。さらに、ある特定物質を認識すると同時に、膜内をより容易に転移させるために、分子認識キャリヤーに相当する分子を膜内に導入することを試み、このキャリヤーの溶解、拡散における役割を種々検討している。
 一方、ポリジメチルシロキサン (PDMS) 膜が有機液体に親和性が高く、選択透過性に優れることが良く知られている。しかし、膜強度が弱く、薄膜化が難しいなどの問題がある。これらの問題を解決すると同時に、PDMS膜より高い選択性を有する膜を得るため、ジビニルタイプのPDMSと種々のジビニルモノマーとの架橋反応で新たなPDMS膜を調製した。これらの新規なPDMS膜は従来のPDMS膜より有機液体に対して高い選択性を示す膜が得られつつあり、またこれらの膜に分子認識キャリヤーを包含させた膜や分子認識キャリヤーを共重合導入した膜を調製しこれらの膜の選択透過性を調べ、膜構造と透過分離特性を物理化学的に解析していく予定である。







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