関西大学化学生命工学部化学物質工学科

内容

生体分子固定化膜の創製

 生体分子の有する機能を人工系に持ち込めれば、人工膜の系では不可能なことを可能にできる。従来、生体分子としては酵素が選ばれ、種々の方法で酵素が固定化され酵素固定化膜として利用されてきている。しかし、酵素固定化に際して酵素活性が低下するなど生体系での機能が十分に活用されていないのが現状である。また、以前にわれわれの研究室で開発した限外ろ過法を用いる酵素固定化膜の調整では膜厚制御が必ずしも容易でないなどの問題が残されていた。そこで、本研究では酵素をビニル化し、共重合をすると同時に、膜化する方法とアルデヒド化高分子基板上に酵素を固定化することを試みつつある。酵素固定化膜は、貴重な酵素の回収の必要がなく、加えて反応と分離が同時に行える。それらの点からまさに機能性高分子の好例であるので、成膜が容易で酵素活性の高い酵素固定化膜の調製を行う予定である。もちろん、これら固定化膜の物理化学的挙動についても詳細に検討を加えたい。
 一方、近年DNAが種々の分野で注目され、数多くの研究がなされている。膜としてのDNAの有用性を考えるとき、膜材料として大量に入手できる点を考慮することが重要である。最近、サケの白子からDNAが多量に入手できることに注目すると、このDNAの機能性材料への利用に興味が持てる。そこで、本研究ではDNAを種々の方法で固定化した膜の調製を行い、DNAの特性を生かした機能性膜の機能発現機構と応用の可能性について検討する。







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